クモはどうやって巣を作るの?
クモはどうやって巣を作るの?
お尻の糸を操るんだ
先日、釣りをしに渓流に行ったんだ。紅葉し始めた木々を見ながら歩いていたら、大きなクモの巣を見つけたよ。そのクモの巣は、川のこちら側から向こう岸まで渡っていたんだ。クモはどうやって川を渡って巣を張ったのだろう?
クモが巣を張るにはまず、自分のいる所から巣の向こう側まで糸を張らなくてはならない。クモは自分のお尻から糸を垂らし、それを風に乗せて飛ばすんだ。ビューと、クモ自身が空を飛んでいくわけではないよ。
糸が巣の向こう側にある木の枝などに、くっつくと、糸の上を往復して糸を強くするんだ。このとき、仮に糸が切れても、自分のお尻から出る糸が命綱となって、元の場所に戻ることができるよ。
次に、この糸の真ん中でお尻から糸を出して、体の重さを利用して下に降りていくんだ。Y字形に下がっていき、着地できる場所を見つけて、大きな枠を作るんだ。
この作業を繰り返して、中心から四方八方に糸を張っていくんだ。できた枠を足場にして、らせん状に糸を張ると、巣ができあがる。普通の円形の巣なら1時間くらいで、できるよ。
みんなはクモの巣に絡まったことはないかな? 髪の毛に付くと、ねばねばしていて、取るのが大変だよね。このねばねばで虫を捕まえるんだ。クモの巣に獲物が引っ掛かると、その振動で獲物の方向を感知して捕まえるんだ。
クモの巣は、ねばねばしているけれど、クモ自身は平気で歩けるのは、糸に秘密があるんだ。中心に向かって縦方向の糸と、外側の糸には粘り気がなくて、それ以外の、らせん状に張った横方向の糸には粘り気があるんだ。クモは、粘り気のない糸を選んで、器用に歩くから、自分は引っ掛からないんだ。
それに、クモは巣を回収することもできるよ。種類によって違うけれど、毎日か、1日おきに巣を新しくするんだ。糸を、かみ切りながら、集めて団子みたいに丸めて食べちゃうんだ。食べた糸は、次の巣を作るときの材料として使われるよ。クモは糸をリサイクルするんだ。ビックリだね。
クモによっては、円形ではない巣を作るものもあるよ。みんなも外に出て、実際に観察してごらん。
(取材協力=日本蜘蛛(くも)学会・新海明)